敷金返還トラブル、賃貸敷金問題解決のノウハウ紹介
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敷金返還判例から見る傾向

判例をみて気がつくのは、以前は特約に敷引きがあっても無効となりほとんどの場合借主が勝訴していました。

しかし、昨年4月の事例8の大阪地裁判例で示したとおり、敷引きの一部については有効として貸主の主張を認める判決がでてきております。


実際裁判になった場合も、地域特性や裁判官の判断により判決がかわってくる可能性もあります。

福岡地裁判例(平成17年10月15日、事例10)

(事実の概要)【敷金23万円、返還17万円】
借主Xは、平成14年11月、貸主Yとの間で賃貸借契約(賃料万円)を締結し、敷金23万円を支払った。
Xは平成15年10月に解約し、本件建物を退去したが、契約には敷金の23万円のうち75%は敷引き特約が盛り込まれていた。借主Xは破損が少なく、貸主Yに敷金の返還を求めたが拒否されたため、福岡簡裁に提訴した。
貸主Y「特約は有効で、敷引き金は補修費に使う」と主張。福岡簡裁は請求を棄却したが、控訴審の福岡地裁は主張を一部認め敷金のうち17万円の返還を命じた。

(判決要旨)
裁判所の判断は、
1)敷引き特約について「貸主と借主の利害を調整するうえで一定の合理性はある」
2)部屋の補修費は賃料から回収できる。
敷金を75%も差し引くことは不合理で25%を超える部分は無効である。
3)敷金25%分の約6万円を差し引いた17万円の返還を命じた。

神戸地裁判例(平成17年7月20日、事例9)

(事案の概要)【事例9、敷金のうちの敷引き25万円、返還25万円】
関西地方などでマンション明け渡しの際、損傷の有無にかかわらず敷金(保証金)の一部を差し引く「敷引き」特約は無効として神戸市中央区の男性(29)は、東京都港区の不動産業者に約25万円の返還を求めた控訴審判決で、神戸地裁は20日までに、返還請求を棄却した神戸簡裁判決を取り消し、業者に全額返還を命じた。

(判決要旨)
神戸地裁は「賃借人の利益を一方的に害し、消費者契約法により無効」と判断した。

大阪の弁護士らでつくる「敷金問題研究会」によると、控訴審で敷引きが無効と認められたのは初めて。同研究会の増田尚弁護士は「敷引きに法的根拠はなく、制度そのものに疑問を投げ掛ける判決。関西の慣例というだけではもう通用しない。制度を見直す時期だ」と話している。

(共同通信) −平成17年7月20日更新分より引用

大阪地裁(平成17年4月20日、事例8)

(事実の概要)【事例8、敷金のうちの敷引き40万円、返還32.6万円】
賃貸マンションなどを出る際に敷金の一部を家主が差し引く関西地方を中心とした慣行をめぐり、借主が「負担が重すぎ違法」などと返還を求めた訴訟で、大阪地裁の横山光雄裁判官は、敷引特約が消費者契約法10条に違反するとして、「適正額を超える部分は無効」と判断、8割余の返還を家主に命じた。

借主は、年6月、大阪市浪速区に所在するマンションの1室につき、家賃月7万円(共益費月1万円)、賃借期間2年との内容で賃借し、夫婦2名で、11カ月間居住し、2004年5月に引っ越した。

(判決要旨)
1)敷引制度そのものは「長年の慣行で必ずしも不当とは言えない」
2)保証金や契約期間などを考慮した適正額があるとし、今回の物件では「保証金の2割(10万円)とみるのが相当」と補修費の過払い分を含め約32万6000円の返還を命じた。

仙台簡裁判例(平成8年11月28日、事例7)

(事実の要約)【事例7、敷金19万8千円、返還16万1435円】
借主Yは、貸主Xとの問で平成2年2月28ロアパートの賃貸借契約(期間、賃料は不明)を締結し、敷金19万8千円を支払った。
退去後、Y立会いのもとAが点検をAが修繕を要すると判断した箇所及び見積額を記載した「退去者立合点検見積書」を作成したうえで、Yにサインを求めたが、Yは鵬に落ちなかったため、一旦は拒否した。


・工事内容
a)畳修理
b)ふすま張替え
c)壁修繕
d)天井修繕
e)床修繕
f)クリーニングエ事
g)その他修繕
h)玄関鍵交換
i)消費税


Xは、補修工事を実施し、33万6810円をため、賃貸借契約書の原状回復義務及び修繕特約に基づき、Yに対して修繕費等から敷金を控除した残金の支払いを提訴した。

(判決要旨)
裁判所は、
1)修繕を要すると判断した損傷箇所の内容等についての具体的明確な説明がなく、Aが部屋自体がそれほど汚いという記憶もなかったということから、使用により生ずる程度を超える損耗等があったとは認められない。
2)居住用の賃貸借においては、汚損は賃料によってカバーされるべきものと解すべきで、その修繕を賃借人の負担とすることは、賃借人に対して新たな義務を負担させるものというべきであり、賃借人がこの義務について認識し、意思表示をしたことが必要である。
3)修繕特約は修繕義務を免除したにとどまり、更に特別の事情が存在する場合を除き、賃借人に修繕義務を負わせるものではないと解すべきところ、本件において、特別の事情の存在を認めるに足りる証拠はない。

うちa)〜e)の修繕費については、理由がないとして斥けるとともに、Yが敷金と支払い義務を認めるf)〜h)修繕費及び消費税を対等額で相殺することを認めた。

神奈川簡裁判例(平成9年7月2日、事例6)

(事実の概要)
借主Xは、平成7年8月、貸主Yとの間で賃貸借契約を締結し、敷金36万円を支払った。借主Xは本件建物を退去後、貸主Yは、取替費用等約35万円を支出したとして、敷金から差引き、8100円のみをXに返還した。
訴訟期間中に浄化槽の清掃費(1万7200円)については支払うことで請求額を39万5989円に縮減した。

(判決要旨)
1)修繕費用を借主に負担させる原状回復の特約は、特別な事情がない限り認められず、借主に修繕義務はない。
2)借主は、畳を貼りけれぱならないほどの損傷を与えていない。
3)浄化檜の清掃は、修繕ではなく、その費用を特約により借主負担とすることには特別の事情を要しないため、借主に支払い義務がある。

以上から、Xの請求(縮減後の39万5989円)全額を認めた。

横浜地裁判例(平成8年3月25日、事例5)

(事実の概要)
借主Xは、平成元年7月2日、Yとの問でマンション(新築物件)の賃貸借契約を締結した。
契約期間は敷金19万4千円とし、Xは同日Yに敷金を交付した。平成3年7月2日の契約更新時に賃料が1万円増額され、Xは同日Yに敷金を追加交付した。

●工事内容
a)畳六畳の裏返し
b)洋間カーペットの取り替え並びに洋間の壁・天弗、食堂、台所、洗面所、トイレ、玄関の壁・天井の張替え
c)網入り熱線ガラスニ面張替え
d)トイレ備え付けタオル掛けの取付け

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川口簡裁判例 (平成9年2月18日、事例3)

(事実の概要)
借主Xは、Yとの問で平成5年12月19日賃貸借契約を締結し、敷金14万2000円を支払った。
Xは、平成8年8月16日に、本件建物を明け渡した。
Yは、以下の補修工事費用(合計12万2312円)を請求し、敷金のうち7万2312円をXに返さなかったため、Xはその返還を求めて提訴した。

・工事内容
a)ルームクリーニング費用
b)ガスコンロ内部クリーニング費用
c)畳替え費用
d)クロス張替え費用
e)クロスクリーニング費用
f)消費税


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